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英語と米語の違いについて考える
   

1. 英と米の単語表現の違い

「トイレ」の言い方

 

見知らぬ場所へ行った時、必ず確認したいのが「トイレがどこにあるか」です。海外に行って、どう言えばいいのか一番悩むのが「トイレ」の言い方でしょう。

toilet という語は使わないと教わりますが、それはアメリカ英語の話。イギリス英語ではOK。ニュージーランドでも、普通に toilet でした。

ニュージーランドやオーストラリアは、基本的にイギリス英語。カナダは、イギリス英語を基盤として、アメリカ英語も取り入れていたり、独自の表現もあったりします。

  • イギリス toilet、loo [lúː](口語)、lavatory(フォーマルな表現)
  • アメリカ bathroom、restroom(公共の場所のトイレ)
  • カナダ washroom

公共の場所にあるトイレの『WC』という表示は、water closet の略語です。今はもう日本でも、この略語はあまり見かけなくなりましたね。

 

「クッキー」と「ビスケット」

 
クッキーまたはビスケット
 

とっても美味しそうなこれは、米では cookie、英では biscuit。なぜそうなるかと言うと、そもそも違うものを指しているためです。

  • イギリス biscuit
  • アメリカ cookie

cookie と biscuit の由来

 

cookie の起源は、18世紀初期。オランダ語で little cake(小さなケーキ)を意味する koekje から来ているそうです。

biscuit というと、アメリカでは「スコーン」に近いものを指します。日本人もたいてい、アメリカ寄りでイメージするんじゃないでしょうか

biscuit の語源は、古フランス語の bescuit。これは、twice cooked(2度焼いた)の意味です。もともと biscuits は、まず焼いて、次に火力の弱いオーブンで水分を飛ばすという二つの過程があったためだとか。

中華料理の回鍋肉も、英語では twice cooked pork です。

ちなみに、biscuit の発音は [bískit]。ui の部分の発音記号は、辞書によっては [I] という表記で「イ」に近い音です。オーストラリアだと、[I] は 「イー」と少し長く伸ばし、ニュージーランドでは「エ」 に近い音になります。

scone(スコーン)は、英でも米でも「スコーン」。cracker(クラッカー)も、英米ともに「ソルティーで、小さく薄くカリッとしたパンのようなもの」。「クッキー」だけが異なるようです。

 

「ビリオン」のケタ違い

 

million は「100万」、billion は「10億」、trillion は「1兆」です。

現在は、英米とも共通ですが、昔は文字通りケタが違いました。1970年代前半まで、英では billion は「1兆」、trillion は「1京」の意味だったというびっくりの事実。

 
 million 1,000,000
 billion 1,000,000,000,000
 trillion 1,000,000,000,000,000,000
 

接頭辞の bi- は two、tri- は three を表すので、2倍、3倍と順当に増えていくにしても、さすがに「1京」なんて現実味のない数です。イギリス英語がアメリカ英語に合わせたのも頷けます。

  • They have two billion (dollars). -s なし
    「彼らは20億(ドル)持っている」
  • They have billions. -s あり
    「彼らは巨億の富を持っている」
ポイント

数字が前に付く時は、実質複数であっても、複数の -s は付かない。数字が付かなければ、複数形にできる(thousand、millionなども同様)

2. 綴り・区切り方・日付表記

スペルの違い

 

日本人が学校で習うのは、英語(British English)というより米語(American English)で、英と米では、同じ英語でも綴りが少し異なります。

よく例として挙げられるのが、center(中心)や program(計画)。この二つで言えば、単語の末尾の順序が入れ替わって「-er」が「-re」になったり、アルファベットが重なったりします。

  • イギリス centre、programme
  • アメリカ center、program

さらに、イギリス英語は、名詞と動詞でスペルが違うことがあります。たとえば、英米とも名詞は practice(練習)ですが、英では「練習する」という動詞は practise です。名詞の時は語尾が「-ce」で、動詞は「-se」。

  • イギリス 動詞:practise、名詞:practice
  • アメリカ 動詞・名詞:practice

他にも細かいあれこれがあって、たとえばコンピュータの「プログラム」の意味で使う時は、イギリス英語でも program です。「ウイルス対策プログラム」なども anti-virus programme ではなく、anti-virus program

 

短縮形の区切り方の違い

 

be動詞 is / are の否定語の短縮形の区切り方について、

  • No, it isn't. / No, it's not.
  • No, they aren't. / No, they're not.

こんな風に、2通りの区切り方があります。子供英会話教室で使っていたレッスン用の補助教材がイギリス英語版で、“No, it isn't.” の表記でした。isn't はイギリス英語だと聞いたけれど、一概にそうでもなさそう。

今は “No, it's not.” を使う方が多いものの、文法的にはどちらもOKです。ただ、it isn't と it's not では、耳で聞いた時の違和感がすごいですね。

 

日付表記の違い

 

これは、なかなか混乱します。日本語での日付は「年・月・日」の順が普通。イギリス式だと「日・月・年」、アメリカ式だと「月・日・年」。たとえば、2100年1月1日は、

  • イギリス 1 Jan. 2100
  • アメリカ Jan. 1,2100

イギリス式・アメリカ式ともに、年月日の間にスラッシュを入れて、1/1/2030 のように書くこともできます。とはいえ、全部数字だと、とても紛らわしいので、何月というのは英語にした方がよいです。

月の英語は January(1月)なら Jan. と、大体最初の3文字で省略されます。短い単語なら、省略されず、そのまま書く場合もあり。

カレンダー

3. 発音の違い

 

巻き舌はアメリカン

 

イギリス英語とアメリカ英語では、母音と子音の発音が違います。ここではざっくりと簡単に。

 
プロフ画
発音については、「R と L と母音の発音」で取り上げてます
 

英語と米語では発音も少し違って、イギリス式では [r] は発音しません。[r] を巻き舌にするのは、アメリカ式。arm(腕)や church(教会)など、「アーム」や「チャーチ」という伸ばす音のところで巻き舌にすると、アメリカ英語っぽくなります。

全般的に、イギリス英語の方が音がフラットです。イギリス英語だと、computer も「コンピューター」[kəmpjútər] ではなく「コンピュータ」[kəmpjúːtə]。IT業界のように、最後の長音符が省略されます。

ただし例外があって、母音の前に r がある時は [r] を発音します。たとえば、umbrella(傘)は、r は e の前にあるため、発音は [ʌmbrélə] です。

以下で、r の音を聴き比べて見てください。

a really red lorry(真っ赤なトラック)

イギリス

アメリカ

また、her egg(彼女の卵)のように、リエゾン(2つの語の音がつながって1語に聞こえる)の場合も、[r] は発音されます。her の最後の r が egg の e という母音と重なるためです。

her eggのリエゾン
 

(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary)

英字新聞

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