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「グラマー・ナチ」とは
   

1. 英語の文法誤り

グラマーナチとは?

 

発音誤りや誤字、用法の間違いは、特に会話では誰でも頻繁に起こります。grammar nazi(グラマーナチ)は、「文法の間違いをいちいち指摘する人」のことで、あまり良いイメージはありません。

上記の動画は、用法を間違った同僚を Tony が次々撃ち殺すと言うコメディです。

人が撃たれる場面で笑い声が入るのは、いくらコメディでもどうかと思うものの…。最後に、Tony 自身も単語を言い間違ってしまい、自分を撃つというオチ。

Tony の間違いを指摘した Luke もまた、一時的に生き返った(?)Tony に撃たれます。そんなブラックコメディ。

  誤 正
 Tony ignorami ignoramuses
 Luke whoever whomever
 

Tony は、ignoramus [ìgnəréiməs](無知な人)の複数形を ignorami と言ってます。正しくは ignoramuses

複数形の語尾が -i [ai] になるのはラテン語由来で、たとえば、octopus(タコ)の複数形は octopuses が一般的ですが、octopi [ɑ́ktəpai] というのもあります。

Luke の方は、文法的には目的格の whomever が正しいものの、口語では普通 whoever で代用するので、必ずしも間違いじゃないはず。グラマーナチ怖い。

 

At least that'll stop him shooting whoever he likes.  whoever で代用
(これで、少なくとも彼が好きなように人を撃つのは止まる)

  • At least that'll stop him shooting whomever he likes.  正式な言い方
 

文字通りでない literally

 

言葉は、時代とともに変わります。本来は誤用でも、その用法が一般化すると、誤用ではなくなったりします。

形容詞の literal は「文字通りの」a literal translation といえば、「直訳」「逐語訳」です。literally は副詞で、「文字通りに」。

  • We were literally killing ourselves laughing.
    (文字通り、笑い死にそうだった)
笑う文字

上記は、「文字通り」と言いつつ、実際笑い死ぬことはないので、厳密には「文字通り」ではありません。文字通りどころか、「文字通りではなく、誇張された意味で」に変わってしまっています。

今や literally は、強調の比喩表現です。ちゃんと辞書にも、 実際文字通りではなくても、語句を強調するために使われる、と記載されてます。

ただし、既に定着しているとはいえ、本来の文法からすれば間違いなので、これはあくまで口語での用法です。

2. literal、literary、literate の違い

literal と似た形容詞に literary、literate があり、それぞれ意味が違います。

  • literal:「文字通りの」「想像力に欠ける」
  • literary:「文学の」
  • literate:「読み書きできる」「精通した」
 

literal は「文字通りの」

 

「文字通りの」の時は、たいてい名詞の前に付く限定用法。また、「事実に即した」という意味から「想像力に欠ける」といったネガティブなニュアンスも出てきます。

  • The literal meaning of ‘petrify’ is ‘turn to stone’.  限定用法
    (「petrify」の文字通りの意味は「石化」だ)
  • Her interpretation of the music was too literal.  叙述用法
    (彼女の音楽の解釈はあまりにも想像力を欠いていた)

literary は「文学の」

 

literary は、「文学の」「文語の」。literally と混同しやすいので要注意。通常は限定用法です。

e. g.

literary criticism「文芸評論」、literary language「文語」、literary agent「著作権代理人」

  • Literary critics raved over his novels.
    (文芸評論家たちは彼の小説を絶賛した)
  • ‘Awaken’ and ‘waken’ are old-fashioned or literary words.
    (「awaken」や「waken」は古風な語、あるいは文語だ)

literate は「読み書きできる」

 

名詞は literacy で、「読み書きできる能力」「(特定の分野の)技能」。「リテラシー」はもう日本語になってますね。literate は「読み書きできる」の他、「特定の分野に精通した」という意味でも使います。

e. g.

financially literate「金融に精通した」、 digitally literate「数字に強い」

  • Only half the children are literate.
    (ほんの半数の子供たちだけが読み書きできる)
  • He is scientifically literate.
    (彼は科学に精通している)
  • She is highly computer-literate.
    (彼女はコンピュータにとても精通している)

2. キャプテン・リテラリー

irony の意味

 

キャプテン・リテラリーは、literally の「文字通り」という本来の意味を遂行させるために現れるヒーロー(?)です。そこへ、キャプテン・アイロニーが参戦。

Isn't it literally ironic how we run into each other every day?
(お互い毎日会うなんて、文字通り皮肉じゃない?)

 

ironic は、しばしば「運命のいたずら」のようなニュアンスで使われ、この場合、棘や悪意はありません。

名詞の irony は「皮肉」「反語」。「皮肉」は遠回しに相手を非難することです。ironic は形容詞なので、「皮肉な」「反語的な」。

キャプテン・アイロニーは、ironic(皮肉な)を interesting(面白い)の意味で使うのは本来の用法ではない、と指摘。さらに、副詞の ironically(皮肉にも)を、意味的に関連のない文頭に置くのはおかしい、と主張します。

 

That's like saying “ironically, the ocean is neat !”
(それは、「皮肉にも、海はきれいだ」と言ってるようなものよ)

 

確かに、これでは何が「皮肉」なのか分かりません。

参考までに、irony、satire、sarcasm の違いは以下の通りです。

  • irony:「皮肉」「反語」
  • satire:「風刺」(人の悪徳や愚かさをさらして、冷笑したり嘲ったりすること)
  • sarcasm:「皮肉」「嫌味」(辛辣な含みのある言葉や言い回し。irony の一種)

nuclear の発音

 

キャプテン・アイロニーに次いで、今度は発音を正すニュークリア・ニンジャが現れます。

nuclear [njúːkliə](原子核の)の発音は、カタカナで書けば「ニュークリア」。キャプテン・リテラリーは「ニューキュリア」と発音してしまい、ニュークリア・ニンジャにパンチされてます。

 

good と well の違い

 

最後は、「good と well は違う」と叫ぶ二人組。

意味は似てるものの、本来、good は形容詞、well は副詞です。今や good も well と同じように使われるようになり、区別が曖昧になっています。が、well の代わりに good を使うのは口語的な用法で、文法的には誤りです。

  • I'm doing well.
    (順調です)
  • I'm doing good.

(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary)

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