1.「取って代わる」の意味
簡単そうで、実は結構厄介な動詞 replace。replace の基本の形は、どれも「A replace B」です。
replace の意味と用法を、AとBの関係性によって、ざっくり3つに分けてみます。別の分類方法もあるのですが、これが一番分かりやすい分類かなと思います。
「取って代わるもの」が主語
まず一つめは、「A が B に取って代わる」、あるいは「A が B に置き換わる」の意味の場合。
A が「取って代わるもの」で、B が「取って代わられるもの」です。能動態だと、主語になるのは A(取って代わるもの)ですね。
- A replace B:
- 「取って代わるもの」が主語になり、「A が B に取って代わる」
「取って代わる」は、少しキツい言い方になるので、場合によっては「交代する」「代わりをする」の方がよいでしょう。しばしば補足的に、as(~として)が付いたりします。
- Smith replaced Miller as CEO after Miller left.
(ミラーが去った後、スミスがCEOとしてミラーの後任になった)
- The insurance will replace the lost income.
(保険が損失利益の代わりになる)
受身形の場合
受動態なら、「B be replaced by A」の形。通例 by の後ろに続くのが「取って代わるもの」になります。
- Teachers will never be replaced by computers in the classroom. 受身形
(教室で教師がコンピューターに取って代わられることはない)
- The manual workers were replaced by the machine. 受身形
(作業員は、機械に取って代わられた)
また、表情や感情がおのずと置き換わったような時も、replace で表せます。この場合、受身形になることが多いです。
- A smile was replaced by a frown. 受身形
(笑顔はしかめ面に変わった)
- The weird feeling was gradually replaced by shock, and then anger. 受身形
(奇妙な感覚は次第にショックに変わり、そして怒りに変わった)
ポイント
能動態で主語が「取って代わるもの」の時、受動態では、by を使って「取って代わるもの」を表す
2.「取り替える・取り換える」の意味
「行為者」が主語
このパターンの時、「A replace B」は、「A が B を(他の何かと)取り替える」「A が B を(他の何かと)交替させる」です。
A は「行為者」で、B は「取り替えられるもの」。A が(他のものを持ってきて)B を取りやめたり、B を退かしたりします。
- A replace B:
- 「行為者」が主語になり、「A が B を取り替える」
要するに、行為者Aが、Bをお払い箱にするってことだろ
- The factory replaced most of its workers with robots.
(その工場は、ほとんどの労働者をロボットに置き換えた)
- Doctors have replaced the top of his hip bone with a metal sphere.
(医師は彼の腰骨の上部を金属球で置換した)
基本的に、取り替える「行為者」A と「取り替えられるもの」B だけを言えばOKです。何と取り替えるか、「取り替わるもの」について言いたい時は、with を付け加えます。
ポイント
主語が「行為者」の場合、「何と取り換えるのか」を表すには with を使う
replace の「行為者」は誰?
「行為者」がはっきり言及されないケースも多いです。
受動態の時などは、「取り替えられるもの」が主語になるため、わざわざ取り替える「行為者」を言わなくても、B is replaced の形で文が成立します。
- It is not a good idea to miss meals and replace them with snacks.
(食事を欠食して間食に置き換えるのは良い考えではない)
- He was replaced as party leader in 1967.
(1967年に、彼は党首としての地位から更迭された)
受動態にして、どうしても「行為者」を示したければ、文法的には by を使うことになるけれど、なんだか妙な感じです。普通はこんな言い方はしないでしょう。
- The top of his hip bone has been replaced with a metal sphere by doctors.
(彼の腰骨の上部は医師によって金属球で置換された)
「取り替え」か「取り換え」か
「代わる」と「替える」と「換える」の違いがよく分からない
「代わる」は引き継ぐこと、「替える」は別のものに変更すること、「換える」は同等のものと交換すること
別物に取り替える
まったく別種のものと取り替える時は、「何と何を取り替えるのか」、「取り替えられるもの」と「取り替わるもの」を言うのが普通です。なので、with を使って示します。
- She has replaced gas lights with electric lights.
(彼女はガス灯を電灯に取り替えた)
- Do a global search for ‘organise’ and replace it with ‘organize’.
(「organise」をグローバル検索して、それを「organize」に置き替えて)
同種の物と取り換える
古くなったり使えなくなったりしたものを、新しいものや良いものに交換する場合です。同種の物なので、あえて「取り替わるもの」を言わなくても話が通じます。with で言ってもいいし、省略しても構いません。
- He replaced the old razor blade.
(彼は古いカミソリの刃を取り換えた)
- We replaced the old television set with a newer one.
(古いテレビを新しいものに交換した)
ポイント
別種の物と「取り替える」時は、通常 with で「取り替わるもの」を表す。同種の物と「取り換える」時は、with は省略されることが多い
3.「元の場所に戻す」の意味
これは、今までの2つとちょっと様子が違います。これまでの「A replace B」は、B が何かに取って代わられたり、退かされたりしました。でも、この用法は A が「行為者」で、「A が B を元の場所(以前あった場所)に戻す」です。
戻す場所を示すには in や on などの前置詞や副詞を使います。
B を「移動させる」という点では同じでも、B が「取り除かれるのではない」という点が大きく異なりますね。
- She replaced the dress in the wardrobe.
(彼女はドレスを衣装ダンスに戻した)
- He replaced the book on the shelf.
(彼は本を棚に戻した)
もっとも、日常会話では replace より、put~back のほうがよく使われるようです。
- Don't forget to put the books back when you've finished.
(読み終わったら本を戻すのを忘れずに)
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE)
英字新聞の再チャレンジガイド
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