1. the front の意味
「前部」と「前方」
「前」といっても、「前部」「前方」では、それぞれ示す場所が違う
名詞の front は「前」という数えられる名詞で、たいてい単数形で使われます。ただ、「前」にも色々な「前」があり、front も the が付いたり無冠詞だったり a が付いたりします。
「前の部分」の場合
まずは、the front が「前面」「前側の部分」の場合を見てみます。つまり「the front of A」の「the front」が「Aの一部分」である時。
- The front of the house was badly damaged.
(家の前面が大破した)
- The singer came to the front of the stage.
(歌手は舞台の前方にやって来た)
- Put your fare into the box at the front of the bus.
(料金はバスの前方の箱に入れてください)
例文2と3については、距離感があるので「前方」と訳していますが、「前側の部分」という点は同じです。それぞれ「舞台の前部分」「バスの前部分」を示します。
「前の位置」の場合
次に、the front が「正面」「前方」の時。「the front of A」の「the front」は「Aの一部分」ではなく、位置的に「Aの前」にあります。
- There's a garden at the front of the house.
(家の前に庭がある)
- A fountain stood at the front of the building.
(建物の正面に噴水があった)
- the front:
- 「前の部分、前面」の場合と「前の位置、正面」の場合がある
2. in the front と in front の違い
「内側」か「外側」か
普通は、in / at the front of~ のように front には the を付けます。ところが、the が付かないこともあって、少し意味が違ってきます。
たとえば、通りに面したレストランがあるとして、
- I sat in the front of the restaurant. レストランの中
(レストランの前の方に座った)
- I'll wait for you in front of the restaurant. レストランの外
(レストランの前で待ちます)
レストランの『内側』の入り口付近にいれば、in the front of the shop。レストランの『外側』の入り口付近にいれば、in front of the shop。無冠詞の時は、outside(外側)と同じ意味です。
こんな風に outside(~の外で)で言い換えられるような場合は、the front ではなく、無冠詞の front を使います。
というのも、at the front of なら、「前の部分」も「前の位置」もどちらも表すことができるけれど、in the front of だと「前の部分」のみで「前の位置」の意味になりません。そこで、in front of になるわけです。
- The bus stops right in front of our house.
(バスは家のすぐ前に止まる)
- He was standing in front of me in the line.
(彼は私の前に並んでいた)
ただし、in front of はあまりにも遠く離れている時には使わないので、間に道路を挟んでしまうと、in front of ではなく、opposite(~の向かい側に)になります。
- There's a bus stop in front of the shop.
(店の前にバス停がある)
- There's a bus stop opposite the shop.
(店の向かいにバス停がある)
比ゆ的な「前」
もうひとつ忘れてはいけないのは、比ゆ的な「前」です。in front of は、実際の位置を言うのではなく、in the presence of(~のいる所で)や in a position facing(~と向き合って)といった「状況・状態」を表します。
「目の前で」の場合
「誰かの目前で」「誰かのいるところで」の意味です。日本語でも「前」という言葉を使いますね。
- Let's not fight in front of the children.
(子供たちの前では争わないようにしよう)
- I wouldn't do that in front of my parents.
(両親の前ではそんなことはしない)
「向かい合って」の場合
人や物事が、単に「前」にあるというより、「向かい合って」いたり、「直面して」いるといったニュアンスです。
- She spends all day sitting in front of her computer.
(彼女は一日中パソコンの前に座って過ごす)
- The door opened and Harriet stood in front of him.
(ドアが開き、ハリエットが目の前に立っていた)
「この先」の場合
さらに、時間の概念としての「前方」があります。「(誰かにとっての)この先の道、未来」という意味での「前」です。まれに、実際の時間を言う際に使ったりもします。
- Don't give up. You still have your whole life in front of you.
(あきらめないで。あなたにはまだ人生がある)
- It's ten minutes in front of 5 o'clock.
(5時10分前です)
- in front of:
- 「目の前で」「向かい合って」「この先」といった比ゆ的な「前」にも使う
ついでながら、位置の「前方」も比喩の「前方」も、ahead of(~の前に)で言い換えられる
「アヘドブ」? なんかソッチ系の言葉を合わせたみたいな響きだ
3. a front の意味
front は「表面」というところから、事実を隠す「うわべの行い」のことも言います。不定冠詞が付いて a front になるケースは少ないものの、「見せかけ」や「隠れ蓑」といった意味の時に a front になったりします。
- Rudeness is just a front for her shyness.
(無礼はただ彼女の内気さを隠すためのものだ)
- The travel company is just a front for drug trafficking.
(旅行会社は麻薬取引の隠れ蓑にすぎない)
さらに、天気の「前線」の場合もよく a が付きます。a cold front(寒冷前線)や a warm front(温暖前線)など。
a cherry blossom front。ただ、それで、外国人に通じるかは分からない
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, 英辞郎 on the WEB)
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