1. rather が形容詞にかかる場合
「かなり」か「やや」か
rather の用法は色々あります。1つには、主にイギリスで使われる用法で、程度を表す副詞です。形容詞や副詞を修飾して、「かなり」「ずいぶん」「やや」「幾分」 といった意味で使われますね。
でも「かなり」と「やや」って、程度がまったく違うのでは?
たいての辞書では、併せて説明されているのですが、Cambridgeには to a slight degree (若干)と to a large degree (かなり)の用例が、以下のように分かれて載っていました。
to a slight degree(少し)
It's rather cold today, isn't it? (今日はちょっと寒いですね)
She answered the phone rather sleepily. (彼女は少し眠そうに電話に出た)
To people who don't know him he probably appears (to be) rather unfriendly. (彼のことを知らない人たちには、おそらく彼はやや無愛想に見える)
to a large degree(かなり)
He boobed rather badly by getting her name wrong. (彼は彼女の名前を間違え、かなりひどいへまをした)
I think my husband is the most handsome man in the world, but I realize my judgment is rather subjective. (夫は世界一ハンサムだと思うが、私の判断はかなり主観的なものだと自覚している)
Actually, I did rather well in my exams. (実際、私は試験がかなり良くできた)
英辞郎によると、「幾分」「やや」といった 「very の控えめな表現」の意味の場合、 ratherの直後には好ましくない意味の形容詞、副詞が来ることが多い とのこと。
rather で意味を和らげる
さらにもう1つ、The Free Dictionary に「ratherは、それに続く単語や表現の効果を和らげるためにも使われる」とありました。たとえば、人に何かを頼まれた時、
I'm rather busy. (少し忙しいんです)
このように、rather を入れることで柔らかく丁寧な印象 になります。日本語でも「ちょっと」や「少し」を使って、語感を柔らげたりするので、それと同じ感覚でしょう。
rather については、Longmanに「特にイギリス英語では、a little(少し)より多く、very(とても)ほどではない」との記述がありました。
「かなり」と訳すと very に近い感じがするけれど、実際は「そこそこ」くらいの意味合いなのかもしれません。
2. rather が単数名詞にかかる場合
rather a+名詞
副詞は通常「形容詞・副詞・動詞・文全体」を修飾します。ところが、rather は少し特殊で、「形容詞を伴わない単数名詞」を修飾することがあります。この場合、rather は「かなり」の意味 です。
It was rather a surprise to find them in the house before me. (彼らが私より先に家の中にいるのを見つけたのは、かなり驚きだった)
It was rather a disaster. (かなりの災害だった)
a+名詞に付く場合 :
「rather a+名詞」で「かなりの~」の意味になる
rather a+形容詞+名詞
次に、rather が修飾するのが名詞句(形容詞+名詞)の場合です。イギリス英語では「rather a+形容詞+名詞」ですが、「a rather+形容詞+名詞」でもOKです。
We had to wait rather a long time. (かなり長い間待たなければならなかった)
We had to wait a rather long time.
It was rather a boring party. (かなり退屈なパーティーだった)
It was a rather boring party.
rather a と a rather の違い
rather a も a rather も、基本的に同じ意味です。ただ、文法的には rather が修飾するものが異なります 。
rather a : (1)「形容詞のみ」を修飾する (2)「形容詞+名詞」を修飾する
a rather : 「形容詞のみ」を修飾する
上に挙げた boring party を例に取ると、rather a boring party は rather が boring を修飾する場合と、boring party を修飾する場合があります。a rather boring party なら、rather は boring だけを修飾します。
また、中には、形容詞と名詞が一つの語になっている ため、形容詞のみを修飾することができないケースもあります。その場合は、必然的に rather a です。
たとえば、long shot は、直訳すれば「長い射程距離」、転じて「大穴」「成功の見込みが薄いこと」という意味で、long と shot がワンセットのイディオムです。なので、a rather は使えません。
The horse was rather a long shot. (その馬はかなり大穴だった)
The horse was a rather long shot.
a+形容詞+名詞に付く場合 :
「rather a」も「a rather」も使えるが、形容詞と名詞がワンセットの語は「rather a」しか使えない
3. rather が複数名詞にかかる場合
rather+形容詞+複数名詞
単数名詞だけでなく、rather が「形容詞+複数名詞」の前に付くことももちろんあります。「やや」なのか「かなり」なのかは、「rather+形容詞(または副詞)」の時と同様です。
I had some rather bad news today. (今日はちょっと悪いニュースがあった)
I grew up in rather unusual circumstances . (私はかなり変わった環境で育った)
4. rather が文や動詞にかかる場合
「むしろ」の意味
まずは、rarher 単体の場合。rather で意味を和らげる用法は、先にも少し触れましたが、動詞を修飾する際も同じく、「少し」「ちょっと」のニュアンスで言葉を柔らかくします。
基本的に、動詞にかかる時は「どちらかと言えば」「むしろ」 の意味で、何かと何かの対比を表します。この場合は、他との比較ではなく「『そうなのか、そうでないのか』のどちらかと言えば」ということです。
I'm rather puzzled by this question. (この質問には少し困惑しています)
We were rather hoping you'd be able to do it by Friday. (どちらかというと、金曜日までにやってくれることを期待していた)
or rather と but rather
or rather は「というよりむしろ」 と、直前に言ったことを訂正して言い換える時に使います。not~but rather は「~ではなくむしろ、それどころか~」 と、反対のことを言う時です。
He's my friend, or rather he was my friend. (彼は私の友達だ、というより友達だった)
She worked as a secretary, or rather , a personal assistant. (彼女は秘書というか、個人秘書として働いた)
The walls were not white, but rather a sort of dirty grey. (壁は白ではなく、汚れた灰色だった)
The problem is not in the whole system, but rather in one small part. (問題はシステム全体ではなく、ごく一部だ)
rather than
than を付けた言い方だと、A rather than B で「BよりむしろA」 という比較になります。ただし、than 以下は省略されることも多いです。
I think I'll have a cold drink rather than coffee. 名詞の対比 (コーヒーではなく、冷たい飲み物を飲もう)
The problem was psychological rather than physiological. 形容詞の対比 (問題は体よりむしろ心だった)
I was rather hoping you'd forgotten about that. 動詞の対比 (私はむしろ、あなたがそのことを忘れていることを望んでいた) 「望まない」というより「むしろ望んでいた」
He rather liked the idea of a well-paid job in Japan. 動詞の対比 (彼はむしろ、日本での高賃金の仕事が気に入っていた) 「気に入らない」というより「むしろ気に入っていた」
「BよりむしろAがいい」
would rather A than B はよく使う表現ですね。「BよりむしろAがいい」 。than 以下が省略されることもあります。
would rather は、意味的には would prefer to (~を好む)と同じです。
would rather than+動詞
I'd rather stay at home than go out. (外出するより家にいるほうがいい)
She'd rather die than give a speech. (彼女はスピーチをするくらいなら、死んだほうがましだ)
I 'd rather have a beer. (どちらかというとビールを飲みたい)
than の後ろは、動詞やら前置詞やら、重複している部分は省略される ことが多いです。
I'd rather have a simple product that actually works than something fancy that's just not reliable. (信頼性のない派手なものよりも、実際に機能するシンプルな製品の方がいい)
I'd rather live in an apartment than (in) a house. (戸建てよりアパートに住む方がいい)
would rather than+節
通常は would rather の後には動詞が来るものの、文節を続けることもできます。would rather=would prefer that~ と考えると分かりやすいです。rather に続く文節中の動詞は、過去形 。文法的に言えば、仮定法過去形の扱いです。
“Do you mind if I smoke?” “Well, I'd rather you didn't .” (「タバコを吸ってもいい?」「吸わないほうがいいな」
Would you rather she came to see me? (あなたは彼女が私に会いに来る方がいい?)
I'd rather you didn't go out. (あなたは行かないで欲しい)
実はこれは、would rather でなくとも、prefer(~を好む)のような動詞を使えば、rather than (~よりむしろ)でも同じ意味が表せます。rather の位置にご注意ください。
I think I'd like to stay at home this evening rather than go out. 動詞の対比 (今夜は、外出するより家にいたい)
否定文の場合
「むしろ(どちらかと言うと)Aでない方がいい」と否定したければ、would rather not A 。not は rather の後 に来ます。否定文の場合は、「(Aであるよりも)Aでない方がいい」という対比なので、than 以下は省略されるのが普通です。
I'd rather not stay at home. (どちらかと言うと、家にいたくない) 「家にいる」より「家にいない」ほうを好む
“What was all that about?” “I'm sorry, I'd rather not say.” (「あれは何だったんだ?」「ごめん、言いたくない」 「言う」より「言わない」ほうを好む
rather 人 than me
ついでに、話し言葉で、ちょっと変わったこんな言い方をしたりします。
“I'm having two teeth out next week.” “Rather you than me .” 「来週、歯を2本抜くんだ」「お気の毒さま」
“I'm going climbing tomorrow.” “Rather you than me !” 「明日はクライミングに行くんだ」「大変だね」
rather 人 than me は、直訳すると「私より~のほうがいい」。自分がしたくないことを他の人がする時に、「自分じゃなくてよかった」 というニュアンスの口語表現です。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Collins Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE)
英字新聞の再チャレンジガイド
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